わたしが思う大人カイブツとは、何か特別な人のことではない。

すごい才能がある人。ひとつのことを極めた人。誰にも真似できない生き方をしている人。もちろん、そういう人もいる。

でも最近、少し思う。大人カイブツって、そんなに特別な人のことでもないのかもしれない。

少しだけ人と違う選択をして、少しだけ遠回りをして、少しだけ周りの目を気にしなくなって、気づいたら人生が少しユニークになっていた。それくらいのことなのかもしれない。

僕は42歳で転職した。そして50歳で独立した。世の中的には、もう落ち着いていてもいい年齢だったと思う。

でも僕は、50歳を過ぎてから、**「プロ無職」**と名乗って仕事をし始めた。

自分でも最初は、「どういうことだ」と思った。無職なのか。プロなのか。仕事なのか。遊びなのか。よくわからない。

でも、そのよくわからなさを、少し面白がってみたかった。たぶん、自分自身を使った実験だったのだと思う。

会社に属する。肩書きに属する。業界に属する。正解に属する。

そういうものから少し離れてみたら、自分はどうなるのか。ちゃんと食べていけるのか。誰かに必要とされるのか。何者でもない自分に、仕事は生まれるのか。

正直、不安はあった。安定も、そんなにない。成功しているのかと聞かれたら、今でもよくわからない。

ただ、ひとつだけ言えることがある。50歳を過ぎた今が、人生で一番楽しい。

それはたぶん、少しだけ周りを気にしなくなったからだと思う。

ちゃんとして見えるか。成功しているように見えるか。普通の道から外れていないか。そういうことを、昔より少しだけ手放せるようになった。

人から見たら、僕の人生は特別ではないかもしれない。でも、特別ではない人生だって、軽やかで、ユニークで、面白くできる。

20年以上前、ある雑誌の背表紙に小さく書いてあった言葉が、ずっと頭に残っている。

「どこにも属さないことに不安を感じないような、芯の強さと軽さをもてたらイイね」

正確な言葉かは、もうわからない。でも、ずっと頭から離れない。

どこにも属さないこと。不安を感じすぎないこと。芯の強さと、なんとなくの軽さ。当時の自分には、まだ遠い言葉だった。

でも今は、少しだけその生き方に近づいてきた気がするような、しないような。

大人カイブツとは、世の中が決めた**「すごい人」**だけのことではないと思う。すごさの形は、人それぞれでいい。

遅れて始めた人。肩書きから少しはみ出した人。自分の違和感を、なかったことにしなかった人。不安を抱えながらも、自分の実験を続けている人。

そういう人も、きっと大人カイブツなのだと思う。

僕自身がカイブツかどうかは、よくわからない。でも、50歳を過ぎて、自分の人生を少し面白がれるようになった。

それだけで、十分なのかもしれない。

60歳になったとき、今よりもっと軽く、今よりもっと自由に、**「どこにも属さない自分」**を楽しめていたらいい。

自分の人生を、自分で少しユニークにしていく。

さー、60歳になったときのユニークさって、なんだろう。最近、それがすごく気になるわ〜

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